スモールサンニュース山口恵里の”現場に行く!”

「第50回 株式会社ハンズコーポレーション」


皆さん、こんにちは!スモールサン事務局の山口恵里です。
「山口恵里の“現場に行く!”」第50回は、愛知県名古屋市にある株式会社ハンズコーポレーション、代表取締役の青野徹氏にお話をお聞きしました!

ハンズコーポレーションは、愛知県を中心に、岐阜県、静岡県、三重県、長野県、福井県、埼玉県で整体・リラクゼーションの店舗「TAiSEiKAN」を72店展開されています。
またもう一つの事業に、JOC(財団法人日本オリンピック委員会)公認のトレーナーとしてオリンピックや国際大会に帯同するなどのトレーナー事業も展開。日本レスリング協会や日本ウエイトリフティング協会、自衛隊体育学校、プロ野球選手の専属トレーナーなど、高い技術力で様々なスポーツのアスリートへのサポートをされています。

そんな青野さんに今回お聞きした新たな挑戦は、なんと小中学生向けのフリースクールひのまるキッズYume School名古屋中央校と通信制高校の松陰高等学校の名古屋中央校を同時開校!
不登校や引きこもりの子どもが通うことで在籍している学校の出席に振り替えることのできるフリースクール。しかし、青野さんが目指すのはただのフリースクールではなく、地域や中小企業も巻き込んだ「社会とつながるフリースクール」。

青野さんに詳しいお話を伺いました。皆さん、ご期待ください!


【会社概要】
会社名:株式会社ハンズコーポレーション
代表取締役:青野徹
所在地:〒450-0003 名古屋市中村区名駅南1丁目3-17
設立:2000年(平成12年)2月21日
事業内容:
整体・足ツボマッサージなどのリラクゼーション全般の企画および運営
整体・リラクゼーションを主としたスクールの企画および運営
株式会社ハンズコーポレーションURL
https://www.hands-corp.co.jp/
整体・リラクゼーション「TAiSEiKAN」URL
https://www.taiseikan.net/
ひのまるキッズYume School 名古屋中央校
https://school.yume.support/nagoyachuo/#YumeSchool
スポーツひのまるキッズ
http://www.hinomaru-kids.jp/

地域や社会とつながるフリースクール
「ひのまるキッズYUME School 名古屋中央校」
〜通信制 松陰高等学校名古屋中央校と同時開校〜


山口 整体・リラクゼーション事業とトレーナー事業と目覚ましい活躍をされているハンズコーポレーションさんですが、今回スタートするのが何とフリースクールとお聞きしました。

青野 はい。名古屋市の名駅南一丁目にある「鍼灸接骨院 TAiSEiKAN α」の2階に、4月から「ひのまるキッズYUME School 名古屋中央校」を開校します。

山口 フリースクールというと、不登校やひきこもりの子を受け入れる民間のサポート施設というイメージですが、実際にどういったものなんですか?

青野 フリースクールには出席振替制度というものがあり、校長の許可が必要となりますが、YUME Schoolに通うことで在籍している小中学校の出席に振り替えることができます。そのため自身の小中学校に通うことができなくても、YUME Schoolで学ぶことによって出席日数をクリアし、公立高校などに進学することが可能になります。授業内容も今回開校するYUME Schoolは日本初のアトラクション型フリースクールとして、基礎学習や資格取得の他、プログラミングやイラスト作成、動画制作なども学ぶことができ、また発達障がいや学習障がいを抱える子のトレーニングやサポートも行っています。

山口 ただ学校の代わりに授業を受ける場所ということではないんですね。

青野 YUME Schoolは各地でフリースクールを展開していて、当社はその5校目となるのですが、独自の特徴として親子を対象にしたスポーツイベントを開くスポーツひのまるキッズ協会とも協力し「ひのまるキッズYUME School」として開校します。そのため、オリンピック選手による講座などのスポーツを活用した学習カリキュラムを備えていることも大きな特徴です。また、同じく4月に、山口県に本校のある通信制高校の松陰高等学校の名古屋中央校としても同時に開校予定ですので、YUME Schoolと同じ校舎で通信制高校のスクーリングを行うことができます。多くの通信制高校ではスクーリングで本校まで行く必要がありますが、松陰高校はそれがないので分校である名古屋中央校に行くだけでOKなんです。

山口 小中学校とここに通った子が大きく環境を変えずに高校まで卒業することができるんですね!

地域を巻き込み、地域で子どもが育っていける場に


青野 もう一つの特徴としては、当社のトレーナー事業でのスキルを活かしたトレーナー育成の授業の他、中小企業としてのつながりを活かして地域の企業や団体での職場体験や工場見学、モノづくり体験などといった課外授業も多く行えることです。

山口 学習の場としてだけでなく、地域や社会とつながる場でもあるんですね。

青野 そうなんです。出席日数や高校卒業資格を取るといったことも大切ですが、何よりも重要なのは学校に行けなくなってしまった子達がちゃんと地域や社会とのつながりを持って成長できることです。私たちが子どもの頃の不登校というのは学年に1〜2人程度で、ずっと休んでると先生が家に来て無理矢理着替えさせられて学校に連れていかれるといった感じでした。ところが、今では不登校の生徒は一クラスに4〜5人いると言われています。また、学校の先生もただでさえオーバーワークであることが問題視されている上、モンスターペアレントも多く、とても生徒一人ひとりを根気よくケアしたり、強引な対応をしたりなんてことは不可能に近いんです。

山口 今は共働きやシングルマザーの家庭も多いですから、不登校やひきこもりを学校や家庭の個々の問題として片付けることはできなくなっていますね。

青野 そういった問題がある中で、官と民の共同でやれることをやろうというのが今の取り組みです。やはり地域で困っていることは地域の人達で解決しないといけないよね、と。そこに地域と共にある中小企業も積極的に関わり、社会とのつながりの中で子どもを育てていく場所にしていこうと考えています。地域社会との関わりの中で子ども達が育っていって、ゆくゆくは地域のお店でアルバイトしたり、中小企業に就職することもできる。その子たちが社会の中で生活して、ちゃんと納税できるところまでいけることで成功と言えるだろうと思ってます。

山口 フリースクールとスポーツ協会、通信制高校、さらには地域の中小企業がつながりあって地域で子ども達を支える。大掛かりなプロジェクトですね。

青野 ここまで大掛かりにやっているフリースクールというのは非常に少ないと思います。しかし小中学校の不登校児童生徒数は毎年右肩上がりで増加していて、現在では20万人にも及ぶと言われる中、どうせやるなら周りを巻き込んでやらないと。フリースクールは厳しい職務環境で退職してしまった教員の方の働き口にもなりますので、子ども達だけでなくそうした人達にとっても社会とのつながりになります。今後もっと他の地域へも活動を拡げていければと思っています。

整体・リラクゼーションの「TAiSEiKAN」とトレーナー事業
〜オリンピックにもトレーナーを派遣する確かな技術力〜


山口 本業は教育とは異なる業種ですが、以前からこういった教育に携わる分野も視野に入れていたのですか?

青野 いえ、全然そんなことはないです。当社はもともと3店舗ほどしかない整体の店で、私はアルバイトとして入社したんですよ。

山口 え、それは整体師としてですか?

青野 そうです。最初は薬品会社の営業で5年、その後は大手運送会社で3年勤めていたんですが、何度か体を壊して退職したことでカイロプラクティックの道に進みました。というのも、私は高校時代に背骨を骨折していて、薬品会社時代に足を引きずって営業を回っていたところ、たまたま薬局にいたカイロプラクティックの先生の施術を受けたら普通に歩いて帰れるようになったという体験があって、その感動を他の人にも与えたいという思いがあったんです。それでカイロプラクティックを学び、修行のつもりでこの会社に入社したんです。2年後には独立するために出来ることを全部覚えようと思って商業施設に営業をかけたりして30店舗くらいまで増やしたんですよ。その結果気づけば専務になっていて、辞めるに辞められなくなってしまったという。

山口 てっきり創業者かと思っていましたので意外です。承継はスムーズだったんですか?

青野 いえ、そうは行きませんでしたね。会社が大きくなるにつれて前の経営者の無茶な経営による影響もどんどん大きくなって、一時期は事実上経営破綻という状態にまでなりました。そんな状況で私が抜けたら、暖簾分けをしていった元の部下達もダメになってしまう。それで結局は全部私が引き受けて経営再建する覚悟で、借金をして株式を取得しました。

山口 そこから現在の会社にまで再建されたんですね。ではトレーナー事業を始められたのも青野さんなんですか?

青野 はい。レスリングで有名な至学館高等学校の子が近隣のTAiSEiKANに通ってくれていたり、色々なご縁もあってレスリング協会のトレーナーになれたんです。それで2008年の北京オリンピックからトレーナーを派遣するようになり、2012年からはレスリング以外の競技でも派遣させてもらっています。これらの実績はリラクゼーション事業への相乗効果にもなっています。JOCや自衛隊体育学校といった国の機関に認められている会社が運営していることが、TAiSEiKANの技術の裏付けとして他社にない強みになりました。

「TAiSEiKAN」ロゴに込められた想い
〜“私”は小さく、周りを支える〜

山口 今回開校されるフリースクール「ひのまるキッズYUME School 名古屋中央校」で協力されているスポーツひのまるキッズ協会もトレーナー事業での関係ですか?

青野 ひのまるキッズは「スポーツで⼦どもたちの健康で健全な⼼⾝を育成する」という理念のもと、柔道を中心に様々なスポーツの大会を通して親子の絆を深める取り組みをされていて、そのテーマに共感する部分があり当社のCSR活動として協賛をするようになりました。今年の2月には「TAiSEiKAN Presents」として 第12回スポーツひのまるキッズ東海小学生柔道大会が無事に開催されました。ひのまるキッズ柔道大会は全国7回所で開催、現在の24歳が大会経験の最年長ですが、先日、東京五輪で金メダルを獲得した素根選手もその一人。また、特徴的なのは現在、全柔連強化選手の中には、素根さんみたいに子どもの頃から優勝していた子に混じって、ひのまるキッズ一番の賞である『マナー賞』をとった選手がたくさんいるんですよ。
また、バスケットボールでは月刊バスケットボールとのコラボでアンダー15の日本で一番大きな大会を開催しています。どれも親と子の絆がテーマで、例えば普通の柔道大会では親は観客席から子どもを応援することしかできませんが、ひのまるキッズでは四角い試合場のサイドで応援できるし、選手宣誓や表彰も親と子で一緒にするんです。

山口 すごいですね!



青野 また、ひのまるキッズはもう一つの目的に「スポーツで飯を食う」というのがあるんです。スポーツに打ち込んできた人が、スポーツの大会やイベントの運営で飯を食うことができる。この「スポーツで飯を食う」というのは、実は当社においても以前からのテーマだったんです。というのも、整体やリラクゼーションの業界が一般に認知されて飯が食えるようになったのも2014年以降で、トレーナー業においてはAT(アスレティックトレーナー)など色々な資格はあるものの、まだまだ業界としては恵まれているとは言えません。そんな中でいかにトレーナー達を食わせられるようにするか、どうやってスポーツで飯を食うかは私達のテーマでもあり、その点でもひのまるキッズの理念への共感がありました。

山口 確かに長く一つのスポーツに打ち込んできた人がその後就ける仕事というのはあまり多くないように思いますね。


青野 TAiSEiKANのロゴには意味があって、様々な色を使っているのは、外向きには「色々なお客さまに来ていただく」、内的には「従業員それぞれの個を認めていく」という意味があります。そして「i」が小文字なのは、“私”は謙虚で小さく、周りを応援していきましょうという意味なんです。そういった「支えていく」という立場からも、ひのまるキッズの活動に協賛しています。

「つなぐ」ことがハンズコーポレーションの企業価値


山口 今回フリースクールを「ひのまるキッズYUME School」として一緒に開校されているのもそういったところからなんですね。

青野 現在、スポーツひのまるキッズイベントは、日本全国で5種目13会場で開催されています。ただ、それは年に一度のイベントという『点』です。今年還暦を迎える永瀬代表を中心に少ないスタッフで全国を飛び回っているのですが、やはりそれには限界があります。点を線から面にするためにより地域と密接した事業拠点が必要で、それならその理念を組み込んだフリースクールの一発目を名古屋で私と一緒にやりましょう、と。
ひのまるキッズ六訓というものがあるのですが、これは「当たり前のことを当たり前にできる」ようにという理念です。こうした基本的なことが自信を生み、自立を促すことに繋がりますので、小中高生にこそやって欲しい。これはフリースクールの開校の背景にもあるものです。

山口 そうしてそれぞれ別であるひのまるキッズとYUME Schoolを繋がれたんですね。

青野 当社の社名ハンズコーポレーションの「ハンズ」は手(ハンド)の複数形であり、「手と手を繋ぐ」ことが由来になっています。つまり、人と人、人と企業、人と世界、人と未来を「つなぐ」ことが当社の企業価値なんです。ひのまるキッズとYUME School、通信制の松陰高等学校、そして地域の企業や大人を私達がつなぐことで、個の可能性を最大限に引き出すための教育機会の確保、そして社会的自立の支援を目的に、楽しく学び、実践していく居場所となることを目指しています。今までこれほど大きく動こうとするところがなかったからか、教育関係や企業もかなり協力的で、従来のフリースクールにはない、地域を巻き込んだ動きが実現できています。動くスピードも本業以上ではないかというくらいです。

山口 「誰一人取り残さない」というSDGsの追い風もあるのでしょうが、不登校や引きこもりの問題が長年解決されることなく深刻になっていっているのもあると思います。フリースクールや通信制高校にネガティブな印象を持つ人もいるかと思いますが、こうした取り組みが成長することで、通常の学校の代替として通うのではなく教育における一つの選択肢になっていくのではないかと思います。

青野 自分のできる範囲でしかやっていなければ、そこから大きく広がっていくこともありません。だからこそ人をつなぐ理念を持つ当社が、周囲や地域を巻き込んでつながっていくことで大きな動きにしていきたいと思っています。また、これはただ社会に貢献するというだけではなく、結果としてTAiSEiKAN自体のブランドを上げることにも繋がります。


山口 今は雇用でも集客でも、こうした社会的な意義であったり、ストーリーが人を集める重要な要素になっています。今回お聞きしたこの挑戦も早速新聞で取り上げられるなど、注目を集めていますよね。地域に根ざした中小企業にとって、これはある意味でのチャンスでもあると思います。

ひのまるキッズYume School名古屋中央校は、4月からの開講に向けて3月23日(水)、24日(木)、25日(金)に内覧会を実施されるそうですので、ご興味のある方はぜひご参加ください。
青野さん、本日はありがとうございました!


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