瀧本智恵のシネマ・ノート　2015年10月号

「アメリカン・ドリーマー 理想の代償」 （原題：A Most Violent Year）～強さは正義か？～アメリカン・ドリームを目指して1981年、ニューヨーク。オイル会社の社長、アベル・モラレス（オスカー・アイザック）の執念は広大な備蓄基地を獲得すること。ユダヤ人が所有するハドソン川沿いの土地に目を付け、全財産を手付金に代え仮契約を結ぶ。残金の支払い期限は30日後。銀行からの融資約束も取り付けた。郊外には豪華な新居も手に入れ、ヒスパニック系移民である彼の長年の夢は目前だ。まさにアメリカン・ドリーム。 一方、タンクローリーが幾度となく襲われ多大な損失を被り、悩みの種。今日もまたドライバーのジュリアン（エリス・ガベル）...